翼長が大きい鳥は強い?
- ゲーム
- ボードゲーム
- Python
この記事で分かること
- 翼長が大きい鳥ほど、得点は高いのか
- 大きい鳥は、卵を置けるのか
- 翼長そのものを条件にするカードはあるのか

1.カードに書いてある翼長は、何のためにあるのか
ウイングスパンの鳥カードには、その鳥の翼長が実寸で書かれています。8cmのハチドリから、303cmのワタリアホウドリまで。
この数字を使うのは、捕食の鳥が獲物を判定するときくらいです。ふだんは目に入っても素通りしてしまいます。
では翼長は、そのカードの何を表しているのでしょうか。
翼長は実在の鳥の数字で、ゲームの都合で決められたものではありません。だからこそ、得点や卵の上限といったゲーム側の数字と突き合わせると、カードがどう設計されているかが見えるかもしれません。
549枚を翼長の順に並べて、確かめてみます。
2.549枚の翼長を並べる
使用するのは、カード検索サイト Wingsearch が公開している鳥カードのデータです。プロモを除く本体5セット557枚のうち、翼長が載っている549枚を対象にしました。
navarog/wingsearch - GitHubWingspan のカード検索サイト Wingsearch のソース。全カードのデータがJSONで公開されています(GPL v3)。github.comgithub.com残る8枚は翼長が空欄です。エミュー、ヒクイドリ、フクロウオウム、ペンギンの仲間など、いずれも飛べない鳥でした。原作のカードでは「*」と書かれていて、捕食の判定にも使えません。
翼長の中央値は46cm、平均は65cmです。平均のほうが大きいのは、200cmを超える鳥が少数いて全体を引き上げているためです。
拡張なし
180枚
+欧州の翼
261枚
+大洋の翼
351枚
+東洋の翼
441枚
+中南米の翼
549枚
※ 記事内で説明した集計をもとに作成した図です。並べたグラフで目盛りを揃えています。
半数以上は50cm未満の小さな鳥です。この構成は拡張を足してもほとんど動きません。どの拡張も、小鳥と大型の鳥の比率を保ったまま足されています。
3.大きい鳥ほど、得点は高い
まず得点です。翼長と得点を1枚ずつ打ちました。
※ 円の面積と添えた数字が、その組み合わせに当てはまる枚数です。空白の升目は該当が0枚。
左下から右上へ、ゆるやかに上がっています。
25cm未満の鳥は2点前後に固まり、9点の鳥は1枚もありません。逆に150cm以上の帯では、7点以上が15枚あります。
※ 記事内で説明した集計をもとに作成した図です。
25cm未満の2.74点から、150cm以上の5.08点へ。ほぼ倍になります。ただし75〜100cmの帯だけ3.70点と落ち込んでいて、きれいな右肩上がりではありません。この帯にはカモやフクロウなど、得点が控えめで能力が強い鳥が多く入っています。
数値にすると、翼長と得点の相関係数は0.322でした。関係はあるものの、強いとまでは言えません。翼長22cmで7点のオガワコマドリのように、小さくても高得点の鳥はあります。翼長30cm未満で5点以上の鳥は24枚ありました。
4.そのかわり、卵が置けない
次に卵の上限です。こちらは逆向きに動きます。
※ 記事内で説明した集計をもとに作成した図です。
翼長と卵の上限の相関係数は−0.358。得点との関係より強く出ています。
25cm未満の鳥は平均3.32個置けるのに対し、150cm以上では1.72個。半分近くまで減ります。
これは実際の鳥もそうです。体が大きい種ほど、一度に産む卵の数は少なくなります。小鳥が一度に5個も6個も産むのに対して、アホウドリやコンドルは1回に1個しか産みません。カードの数字は、その傾向をなぞっています。
この関係は拡張を足しても変わりません。相関係数は5段階すべてで−0.36から−0.44の間に収まります。
得点との相関
卵の上限との相関
実際は負の値(絶対値で表示)
※ 記事内で説明した集計をもとに作成した図です。単位が違うため、グラフごとに目盛りを取っています。
どの段階でも、卵との結びつきのほうが得点よりも強いままです。大きさから読み取れるのは「点が高そう」よりも「卵が置けなさそう」のほうだ、ということになります。
大きい鳥は、餌も高くつく
餌コストも見ておきます。
※ 記事内で説明した集計をもとに作成した図です。
1.72個から2.28個へ、こちらもゆるやかに上がります。相関係数は0.175と弱めですが、方向は一貫しています。大きい鳥は点が高いかわりに、出すのに餌がかかる。
捕食の能力を持つ鳥の割合も、翼長とともに上がります。25cm未満では0%、100〜150cmでは41%。ワシやフクロウのような大型の狩る鳥が、この帯に集まっているためです。
5.翼長そのものを条件にするカードが12枚ある
ここまではカードの数字どうしの関係でしたが、翼長を能力文で直接参照するカードもあります。557枚のうち12枚でした。
| カード | 翼長 | セット | 効果 |
|---|---|---|---|
| コクチョウ | 180cm | 大洋の翼 | この鳥を含め、翼長100cm超の自分の鳥すべてに卵を1個産む |
| ムラサキオーストラリアムシクイ | 15cm | 大洋の翼 | この鳥を含め、翼長30cm未満の自分の鳥すべてに卵を1個産む |
| ワタリアホウドリ | 303cm | 中南米の翼 | 場のカードのうち、最も翼長が大きいものを引く |
| ワシミミズク | 174cm | 東洋の翼 | 山札から最大3回カードを引く。合計翼長が一定を超えたら止める |
| ヨーロッパチュウヒ | 130cm | 東洋の翼 | 山札から最大3回カードを引く。合計翼長が一定を超えたら止める |
| アカスズメフクロウ | 39cm | 中南米の翼 | 手札から翼長75cm未満の鳥を1枚、この鳥に差し込む |
| アカチャアオバズク | 115cm | 大洋の翼 | 場から翼長75cm未満のカードを1枚引き、この鳥に差し込む |
| オナガイヌワシ | 207cm | 大洋の翼 | 山札を1枚見る。翼長65cm超なら差し込む |
| ハイイロモズガラス | 40cm | 大洋の翼 | 山札を1枚見る。翼長40cm未満なら差し込む |
| アカミミダレミツスイ | 49cm | 大洋の翼 | 盤面の翼長49cm未満の鳥1羽につき、花蜜を1個得る |
| マミジロテリカッコウ | 29cm | 大洋の翼 | 他の人が産卵したとき、翼長が一定以下の鳥に卵を1個産む |
| スミレテリカッコウ | 27cm | 東洋の翼 | 他の人が産卵したとき、翼長が一定以下の鳥に卵を1個産む |
12枚のうち7枚が大洋の翼、3枚が東洋の翼、2枚が中南米の翼です。拡張なしと欧州の翼には1枚もありません。翼長を使う遊び方は、あとから拡張で持ち込まれたことになります。
これらを持っているときだけ、翼長は直接の得点源になります。
コクチョウは翼長100cm超の鳥すべてに卵を産ませます。この記事の集計でいえば、100cm以上の鳥は全体の21%。盤面にそういう鳥を並べておく必要があります。逆にムラサキオーストラリアムシクイは30cm未満が対象で、こちらは全体の30%です。
6.🔍 ちなみに、どうやって調べた?
分析方法をくわしく見る
使用したデータ
カード検索サイト Wingsearch のソースに含まれる鳥カードのデータ(GPL v3)です。実体は src/assets/data/master.json 1ファイルで、2026年8月時点のものを取得しました。鳥カードは707枚あり、うちプロモ150枚を除いた本体5セット557枚が対象です。さらに翼長が空欄の8枚を除いた549枚で集計しています。
使用した列と、集計のしかた
| この記事での呼び方 | 元データの列 | 入っている値 |
|---|---|---|
| 翼長 | Wingspan | 8〜303(cm)。空欄が8枚 |
| 得点 | Victory points | 0〜9 |
| 卵の上限 | Egg limit | 0〜6 |
| 餌コスト | Total food cost | 0〜3 |
| 捕食 | Predator | 持つ鳥に「X」 |
| 能力 | Power text | 英語の能力文 |
- 1翼長は連続した値なので、6つの帯に区切って集計した。区切りは25cmごとを基本に、数の少ない大型側をまとめている
- 2相関係数はピアソンの積率相関係数。翼長と、得点・卵の上限・餌コストのそれぞれで求めた
- 3翼長を参照するカードは、能力文に wingspan を含むものを抜き出した。12枚あった
- 4「拡張なし」「+欧州の翼」…は、その時点で持っているカードをすべて合わせた累計
分析上の注意点
- 翼長が空欄の8枚は飛べない鳥で、この集計から外している。含めれば大型側の傾向は変わりうる
- 相関があるからといって、翼長から得点が決められているとは限らない。カードの得点はゲームを成り立たせるための数字で、翼長は実在の鳥の数字
- 能力の強さは数値にしていないため、得点が低い鳥が弱いとは限らない
7.まとめ
翼長は、そのカードが「点で稼ぐ鳥」か「卵で稼ぐ鳥」かの目安になっています。
大きい鳥は点が高く、餌がかかり、卵が置けない。小さい鳥はその逆です。どちらが強いという話ではなく、稼ぎ方が違います。カードに書かれた実在の鳥の数字が、そのままゲームの役割分担になっていました。
- 翼長は8cmから303cm。中央値は46cmで、半数以上が50cm未満の小鳥
- 大きい鳥ほど得点は高い(相関0.322)。25cm未満2.74点、150cm以上5.08点
- そのかわり卵が置けない(相関−0.358)。3.32個から1.72個へ
- 卵との結びつきのほうが、得点より一貫して強い
- 餌コストも上がる(相関0.175)。捕食持ちの割合も大きいほど高い
- 能力文で翼長を参照するカードが12枚。すべて拡張のカードで、7枚が大洋の翼
高得点かつ卵の上限も多い鳥は存在する?得点と卵の上限の関係を、557枚の散布図で調べた記事です。両方を満たす鳥は8枚しかありませんでした。datasanpo.comよくある質問
- ウイングスパンで翼長が大きい鳥は得点が高いですか?
- 傾向としては高くなります。翼長25cm未満の鳥は平均2.74点、150cm以上では平均5.08点でした。ただし相関係数は0.322とゆるやかで、小さくても高得点の鳥はあります。翼長だけで強さは決まりません。
- 翼長が大きい鳥は卵を置けますか?
- 置きにくくなります。翼長25cm未満の鳥は平均3.32個置けるのに対し、150cm以上では平均1.72個です。相関係数は−0.358で、得点との関係(+0.322)よりも強く出ています。実際の鳥も、大型種ほど一度に産む卵が少なくなります。
- 翼長を条件にするカードはありますか?
- 557枚のうち12枚が、能力文で翼長を直接参照します。コクチョウの「翼長100cm超の鳥すべてに卵を1個産む」、ムラサキオーストラリアムシクイの「翼長30cm未満の鳥すべてに卵を1個産む」などです。12枚とも拡張のカードで、拡張なしの基本セットには1枚もありません。
