誰にも頼まれていないデータ分析
ゲーム

高得点かつ卵の上限も多い鳥は存在する?

  • ゲーム
  • ボードゲーム
  • Python

この記事で分かること

  • 得点の高い鳥は、卵を産めるのか
  • 得点と卵の上限を両立した鳥はあるのか
  • 卵で稼ぐか、得点で稼ぐか

1.得点も高くて、卵も置ける鳥がほしい

ウイングスパンの終盤、卵を置く場所を探すことがあります。卵は1個1点なので、置ける鳥が多いほど得です。

どの鳥に置くかは、点数には関係ありません。卵1個はどこに置いても1点です。ただ上限まで埋まった鳥には置けないので、卵をたくさん置ける鳥が盤面にいるほど、この行動は伸びます。

一方で、鳥そのものの得点も高いほうが得です。だとすれば理想は、得点が高くて、しかも卵をたくさん置ける鳥です。ところが、そういう鳥にかぎって卵の上限が小さいのです。そんな印象があります。

高得点の鳥は、本当に卵を産めないのでしょうか。

557枚のカードで確かめてみました。

2.557枚の得点と卵を並べる

使うのは、カード検索サイト Wingsearch が公開している鳥カードのデータです。1枚ごとに得点と卵の上限が記録されています。

navarog/wingsearch - GitHubWingspan のカード検索サイト Wingsearch のソース。全カードのデータがJSONで公開されています(GPL v3)。github.com

プロモを除いた本体5セットの557枚が対象です。

3.卵の上限ごとの平均得点

卵の上限で分けて、それぞれの平均得点を出しました。

卵の上限別の枚数(全557枚)
卵0個7枚
卵1個40枚
卵2個220枚
卵3個132枚
卵4個96枚
卵5個40枚
卵6個22枚

※ 記事内で説明した集計をもとに作成した図です。

卵が置けるほど、得点は下がります。

卵1個の鳥は平均5.00点。卵6個の鳥は平均2.77点。倍近い差です。2個から3個の間で4.56点から3.23点へ大きく落ちるのが目を引きます。

卵の上限と平均得点
卵1個5.00点
卵2個4.56点
卵3個3.23点
卵4個2.93点
卵5個2.95点
卵6個2.77点

※ 記事内で説明した集計をもとに作成した図です。

平均で見ると右肩下がりですが、平均は例外を隠します。1枚ずつ打って、557枚が実際にどう散らばっているかを見ます。

卵の上限と得点(全557枚)
0点1点2点3点4点5点6点7点8点9点0個1個2個3個4個5個6個113215115109143241739485130176651526283410951213152113144313711571231126661卵の上限得点

※ 円の面積と添えた数字が、その組み合わせに当てはまる枚数です。空白の升目は該当が0枚。70通りのうち56通りに鳥がいます。

右上が、きれいに空いています。

卵の上限が6個の鳥は最高でも5点。卵5個なら8点まで、卵4個なら8点まで。そして9点の鳥は、卵2個以下にしかいません。得点と卵の両方を大きくした鳥は、意図的に置かれていないことが分かります。

いちばん濃いのは卵2個の列です。卵2個で3〜5点の3マスだけで138枚、全体の4分の1を占めます。ここがこのゲームの標準的な鳥ということになります。

では、冒頭の問いに戻ります。高得点かつ卵の上限も多い鳥は、存在するのでしょうか。

存在します。ただし、得点7点以上で卵4個以上は8枚だけです。

得点7点以上、かつ卵の上限4個以上の鳥(8枚)
カード得点卵の上限セット
シチメンチョウ8点5個拡張なし
オウゴンアメリカムシクイ8点4個拡張なし
オガワコマドリ7点5個欧州の翼
ヤツガシラ7点5個東洋の翼
キジ7点5個東洋の翼
ハシビロガモ7点4個拡張なし
アメリカムラサキバン7点4個拡張なし
コバネカイツブリ7点4個中南米の翼

557枚のうち8枚、1.4%です。基準を得点6点以上まで下げても14枚しかありません。見かけたら優先して取る価値がある、という程度には希少な枠です。

この関係を数値にすると、得点と卵の上限の相関係数は−0.349でした。片方が高いほど、もう片方が低くなる関係です。

得点と卵の上限の相関係数(拡張を足しても変わらない)
拡張なし-0.349
+欧州の翼-0.335
+大洋の翼-0.372
+東洋の翼-0.353
+中南米の翼-0.349

※ 記事内で説明した集計をもとに作成した図です。

どの段階でも−0.33から−0.37の間に収まっています。拡張を入れても、このトレードオフは崩れません。設計として意図的に維持されているのが分かります。

最高得点の鳥は、卵が置けない

個別に見ると、もっとはっきりします。最高得点である9点の鳥は9枚ありますが、

9枚すべて、卵の上限は1個か2個でした。

3個以上置ける9点の鳥は、557枚を通して1枚もありません。逆に卵6個の22枚を見ると、最高でも5点どまりです。

4.巣の種類にも、卵は関わっている

卵に関わるもうひとつの要素が、巣の種類です。地上・椀型・樹洞・台状の4種類があり、そのうち台状の巣だけは平均卵上限が2.37個と、他の3種類(3.0前後)よりはっきり低くなっています。

なぜ台状だけ卵が置きにくいのでしょうか。実在の鳥の翼長と食べ物まで見ていくと理由が分かるのですが、話が巣のほうへ移っていくので、別の記事にまとめました。

巣の種類には意味がある?巣の種類ごとの枚数、得点や卵の上限との関係、生息地との結びつきを557枚ぶん調べた記事です。台状の巣だけ性格が違う理由も扱っています。datasanpo.com

5.🔍 ちなみに、どうやって調べた?

分析方法をくわしく見る

使用したデータ

カード検索サイト Wingsearch のソースに含まれる鳥カードのデータ(GPL v3)です。2026年8月時点のもので、プロモを除く本体5セット557枚を対象にしました。

相関係数について

2つの数値がどれだけ連動しているかを、−1から+1の範囲で表したものです。+1に近いほど片方が増えるともう片方も増え、−1に近いほど逆に動きます。0なら関係がありません。

今回の−0.349は、はっきりした逆の関係があるものの、例外もそれなりにある、という程度の強さです。実際、卵2個で1点の鳥もいれば、卵4個で7点の鳥もあります。

分析上の注意点

  • カードの得点と卵の上限だけを比べたもので、能力は考慮していない
  • 卵の上限は「置ける最大数」であり、実際に何個置けるかはゲームの進行による
  • 卵は1個1点だが、終了時目標やボーナスカードで追加の価値がつく場合がある
  • 巣の「ワイルド」は、どの種類としても数えられるカード

6.まとめ

  • 得点と卵の上限には逆の関係がある(相関係数 −0.349)
  • 卵1個の鳥は平均5.00点、卵6個の鳥は平均2.77点
  • 9点の鳥9枚は、すべて卵の上限が1個か2個
  • この関係は、どの拡張を入れても−0.33〜−0.37で変わらない
  • 得点7点以上かつ卵4個以上は、557枚中8枚しかない

7.次に調べたいこと

  • 卵で稼ぐ戦法と得点で稼ぐ戦法は、どちらが有利なのか
  • 卵の上限が大きい鳥は、どの生息地に多いのか

点を取るか、卵を置くか。557枚すべてが、その二択の上に乗っていました。

9点の鳥に卵を4個置けたら強すぎます。そんな鳥は1枚もありません。拡張を4つ足しても、この線引きは動きませんでした。

よくある質問

ウイングスパンで得点の高い鳥は卵を産めますか?
産めません。557枚を集計すると、得点と卵の上限の相関係数は-0.349で、はっきりした逆の関係があります。最高得点の9点の鳥9枚は、すべて卵の上限が1か2でした。逆に卵を6個置ける22枚は、平均2.77点しかありません。
高得点かつ卵の上限も多い鳥はありますか?
あります。ただし得点7点以上で卵の上限4個以上は、557枚中8枚だけです。シチメンチョウ(8点・卵5個)、オウゴンアメリカムシクイ(8点・卵4個)、オガワコマドリ、ヤツガシラ、キジ(いずれも7点・卵5個)など。基準を6点以上まで下げても14枚しかありません。
卵を1個も産めない鳥はいますか?
557枚中7枚あります。すべて餌コスト0のハゲワシとコンドルの仲間で、巣の種類も「巣なし」です。餌がいらない代わりに卵も置けない、という設計になっています。

関連する記事