市町村名に最も多く使われる漢字は?
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この記事で分かること
- 市町村名に最も多く使われる漢字は何か
- 上位の漢字には、どんな共通点があるのか
- 1つの市町村でしか使われない漢字はどれくらいあるのか

1.地名は、何でできているのか
旭川市、田原市、大村市、山県市、野田市。市町村の名前を眺めていると、同じ漢字が何度も出てくることに気づきます。
地名は、そこにあるものから付けられます。川があれば川、田があれば田。だとすれば、よく使われる漢字を数えれば、日本の土地に何が多いのかが見えるかもしれません。
市町村名に最も多く使われる漢字は、何でしょうか。
ひとつ選んでから、続きをお読みください。
全国1,718市町村の名前を、一文字ずつ数えて確かめてみます。
2.1,718件を一文字ずつ数える
使用するのは、総務省が公開している「全国地方公共団体コード」です。
全国地方公共団体コード - 総務省全国の都道府県・市区町村に割り当てられたコードの一覧。市区町村名が漢字とカナで収録されています。soumu.go.jpsoumu.go.jp令和6年1月1日現在で、市792・町743・村183の合わせて1,718件です。末尾の「市」「町」「村」を除いた部分について、漢字を一文字ずつ数えました。
ここでは区を含めていません。
政令指定都市の行政区と東京23区を入れると、結果が歪むためです。区の名前は北区・南区・東区・西区・中区のように方角が多く、194区のうち65区が漢字1文字の方角や色の名前でした。
実際、区を入れると順位が変わります。「南」は6位から4位へ、「中」は19位から9位へ上がり、東・西・北もそれぞれ順位を上げます。区は市を機械的に分けてつくるものなので、そこで付けられた方角の名前が、土地の成り立ちを見たいこの集計に混ざってしまいます。
| 漢字 | 市町村のみ | 区を含めると | 区での使用 |
|---|---|---|---|
| 中 | 19位(30回) | 9位(51回) | 21回 |
| 北 | 14位(35回) | 10位(49回) | 14回 |
| 西 | 17位(31回) | 12位(47回) | 16回 |
| 南 | 6位(63回) | 4位(80回) | 17回 |
| 東 | 9位(47回) | 7位(65回) | 18回 |
そこで、区を除いた市町村1,718件だけで数えます。
3.1位は「川」
数えた結果です。使われた漢字はのべ3,716文字、717種類でした。
※ 記事内で説明した集計をもとに作成した図です。
1位は「川」で107回。1,718件のうち、16件に1件は名前に川が入っています。
旭川市、滝川市、砂川市、深川市、新十津川町。上位5位のうち4つまでが、川・田・山・野という地形の字でした。
ただし、全国どこにでもあるわけではありません。「川」を名前に含む市町村があるのは36都道府県で、残る11県(佐賀・大分・山口・岡山・岩手・広島・愛媛・沖縄・滋賀・福井・鳥取)には一つもありません。最も多いのは北海道の11件でした。
3位の「大」だけが地形ではありません。大船渡市、大崎市、大村市。こちらは規模を表す言葉で、隣に小さい同名の土地があるときに付けられることが多い字です。実際「小」も12位に入っています。
地形の字だけで17%を占める
上位25字のうち、地形や自然を表す字だけに色をつけてみます。
※ 記事内で説明した集計をもとに作成した図です。
上位8位までのうち6つ、上位25字のうち8つが地形の字でした。ここに入りきらなかった岡・浜・浦・石・谷・海・森・池も足すと、16字で639回。のべ3,716文字の17%を占めます。地名の6文字に1文字は、川や山や田のことを言っている計算です。
「津」が48回と多いのも目を引きます。津は港のこと。大津市、沼津市、木更津市、唐津市。海や川に面した土地に残っている字です。
4.296種類は、1つの市町村にしかない
717種類という数字を聞くと、いろいろな漢字が使われている印象を受けます。ところが中身を見ると、そうではありません。
※ 記事内で説明した集計をもとに作成した図です。
296種類、全体の41%は、1つの市町村でしか使われていません。
小樽市の「樽」、夕張市の「夕」、網走市の「網」、稚内市の「稚」、倶知安町の「倶」。ほかのどの市町村にも出てこない漢字です。こうした字を含む市町村は279件ありました。
反対に、上位10種類だけでのべの18%、上位50種類で44%を占めます。ごく少数の字が繰り返し使われ、残りは1つの市町村にしか出てこない。地名に使われる漢字は、かなり偏っています。
5.北海道の「別」
都道府県ごとに数えると、その土地でしか出てこない字が見つかります。
北海道で最も多く使われる漢字は「別」で、20回でした。
芦別市、江別市、紋別市、士別市、登別市、当別町、喜茂別町、秩父別町、愛別町、遠別町、津別町、湧別町、幕別町、本別町、陸別町、別海町。
全国で「別」を含む市町村は22件ありますが、そのうち20件が北海道です。道外は今別町(青森県)と別府市(大分県)の2件だけ。これはアイヌ語で川を意味する「ペッ」に、音の近い漢字を当てたものとされています。
北海道では「内」も9件あります。稚内市、歌志内市、知内町、木古内町、黒松内町、岩内町、神恵内村、幌加内町、中札内村。こちらもアイヌ語で沢を意味する「ナイ」に由来します。
全国1位の「川」が北海道でも11回と多いことを考えると、北海道の地名は「別」「内」「川」と、水を指す言葉が三重に重なっていることになります。
| 都道府県 | 上位の漢字 |
|---|---|
| 北海道 | 別20、川11、幌9、内9 |
| 東京都 | 島7、東4、蔵3、野3 |
| 長野県 | 木9、野6、田5、小5 |
| 大阪府 | 大5、阪5、田5、泉4 |
| 鹿児島県 | 島7、南4、水3、大3 |
| 沖縄県 | 城4、那3、宜3、名3 |
東京都と鹿児島県で「島」が1位なのは、どちらも多くの島を市町村として抱えているためです。沖縄の「城」(ぐすく)、大阪の「阪」も、その土地でしか出てこない字でした。
6.🔍 ちなみに、どうやって調べた?
分析方法をくわしく見る
使用したデータ
総務省が公開している「全国地方公共団体コード」の Excel ファイルです。令和6年1月1日現在のもので、市区町村のコードと名称が収録されています。
収録されている1,918件のうち、区194件と、北方領土の6村を除いた1,718件(市792・町743・村183)を対象にしました。北方領土の6村は現に行政が行われておらず、総務省が市町村数を数えるときも除いています。
数え方
- 1末尾の「市」「町」「村」の1文字を取り除いた部分を、その市町村の名前として扱った
- 2名前を一文字ずつ分け、漢字だけを数えた。ひらがな・カタカナは対象外
- 3漢字かどうかは文字コードで判定した(CJK統合漢字と、繰り返し記号の々)
- 4同じ市町村名のなかに同じ漢字が2回出てくる場合は、2回として数えている
分析上の注意点
- 区を除いた理由は本文のとおり。区は方角の名前が多く、入れると順位が歪む
- 漢字の頻度であって、その地形が実際に多いかどうかを測ったものではない。川という字がある土地に必ず川があるとは限らない
- 地名の由来については、広く知られている説にふれたにとどまる。個々の地名の語源を確かめたものではない
- 市町村は合併で変わるため、この数字は令和6年1月1日時点のもの
7.まとめ
市町村名に最も多く使われる漢字は「川」でした。107回、16件に1件です。
上位5位のうち4つが川・田・山・野という地形の字で、地形を表す16字だけで全体の17%を占めます。地名の材料は、やはりそこにあるものでした。
一方で717種類のうち296種類は、1つの市町村にしか出てきません。ごく少数の字が繰り返し使われ、残りはその土地だけのもの。北海道の「別」のように、由来ごと固まって残っている字もありました。
分かったことをまとめると、次のとおりです。
- 1位は「川」で107回。次いで田88、大79、山74、野72
- 地形を表す16字だけで639回、全体の17%
- 717種類のうち296種類(41%)は、1つの市町村でしか使われない

よくある質問
- 市町村名に最も多く使われる漢字は何ですか?
- 「川」で107回です。次いで田88回、大79回、山74回、野72回と続きます。全国1,718市町村の名前に使われた漢字はのべ3,716文字、717種類でした。
- 市町村名に使われる漢字は何種類ありますか?
- 717種類です。ただし偏りが大きく、296種類は1つの市町村でしか使われていません。全体の41%が「その市町村にしかない漢字」ということになります。逆に上位10種類だけで、のべ3,716文字の18%を占めます。
- 地名に自然を表す漢字は多いですか?
- 多いです。川・田・山・野・島・津・原・岡・木・浜・内・浦・石・谷・海・池・森という地形や自然を表す16字だけで639回、全体の17%を占めます。上位5位のうち4つ(川・田・山・野)がこれにあたります。

