誰にも頼まれていないデータ分析
旅行・地域

漢字1文字の市区町村と4文字の市区町村とではどちらが多いのか?

  • 旅行・地域
  • 地理
  • Python

この記事で分かること

  • 漢字1文字と4文字では、どちらが多いのか
  • 市・区・町・村で、割合はどう違うのか
  • 漢字1文字の市は、全国にいくつあるのか

1.津市と、会津若松市

日本には、名前が漢字1文字の市区町村があります。三重県の津市、大阪府の堺市、東京都の港区。どれも有名な地名です。

反対に、長い名前もあります。会津若松市、五所川原市、陸前高田市。こちらは漢字4文字です。

とはいえ、住所を書くときに1文字で済む市区町村はそう多くない気もします。かといって4文字も、そう見かけない気がします。ほとんどは2文字か3文字ではないでしょうか。

では、漢字1文字と4文字では、どちらが多いのでしょうか。

どちらだと思うか、選んでみてください。

また、1文字の市区町村の割合はどのくらいだと思いますか?

こちらもひとつ選んでから、続きをお読みください。

全国の市区町村の名前を数えて確かめてみます。

2.1,855件の名前を数える

使用するのは、総務省が公開している「全国地方公共団体コード」です。全国の市区町村に振られた6桁のコードと、その名前が一覧になっています。

全国地方公共団体コード - 総務省全国の都道府県・市区町村に割り当てられたコードの一覧。市区町村名が漢字とカナで収録されています。soumu.go.jp

令和6年1月1日現在の一覧に載っているのは1,918件です。このうち北方領土の6村は、現に行政が行われていないため通常の市町村数には数えません。これを除いた1,912件から、さらに名前にひらがなやカタカナが混ざる57件を外し、1,855件を対象にしました。

対象にした市区町村(漢字で書かれた1,855件)
市760件
町718件
区194件
村183件

※ 記事内で説明した集計をもとに作成した図です。

今回は、名前が漢字で書かれているものに絞ります。つくば市やニセコ町のように、ひらがなやカタカナが混ざるものは「漢字1文字になりようがない」ので、数える相手から外しました。外した57件は、つくば市・いわき市・むつ市のようにひらがなで書く地名が52件と、ニセコ町・南アルプス市・上ノ国町など5件です。なお鎌ケ谷市や六ヶ所村の「ケ・ヶ」は、文字としてはカタカナですが漢字の地名の一部として使われているので、対象に含めています。

名前の数え方は、末尾の「市」「区」「町」「村」を取り除いた部分の文字数とします。津市なら「津」で1文字、市川市なら「市川」で2文字です。残った1,855件のうち、区は194件。東京23区と政令指定都市の行政区171区の合計です。区を除いた市町村は1,661件になります。

3.1文字は4.8%、4文字は2.8%

数えた結果です。

名前の文字数の分布(漢字で書かれた1,855件)
1文字4.8%
2文字75.2%
3文字17.1%
4文字2.8%
5文字0.1%

※ 記事内で説明した集計をもとに作成した図です。

漢字1文字は89件で4.8%、漢字4文字は52件で2.8%。1文字のほうが多い結果でした。

1文字はおよそ21件に1件、4文字は36件に1件です。長い名前のほうが珍しいことになります。

予想どおり2文字が圧倒的で、1,395件と全体の75.2%を占めます。

4文字の名前を見てみる

4文字の52件に5文字の2件を足すと、4文字以上は54件、全体の2.9%になります。

4文字が52件。会津若松市、五所川原市、陸前高田市、那須塩原市、四国中央市、薩摩川内市。旧国名や郡名を頭に付けた市が目立ちます。同じ名前の市と区別するためや、合併のときに広い地域をまとめて指すために、こうした付け方になります。

北海道には上富良野町・中富良野町・南富良野町が揃っていて、これだけで3件。音威子府村や利尻富士町もあり、6件と最も多い道県でした。

5文字は全国に2つしかありません。

山梨県の富士河口湖町と、山口県の山陽小野田市です。どちらも平成の大合併でできた自治体で、もとの地名を並べた結果として長くなりました。漢字6文字の市区町村は、ひとつもありません。

漢字5文字の市区町村(2件)と、4文字の例
文字数市区町村都道府県
5文字富士河口湖町山梨県
5文字山陽小野田市山口県
4文字会津若松市福島県
4文字五所川原市青森県
4文字陸前高田市岩手県
4文字九十九里町千葉県
4文字東久留米市東京都
4文字音威子府村北海道
4文字四国中央市愛媛県
4文字薩摩川内市鹿児島県

つまり市区町村の名前は、1文字が4.8%、4文字以上が2.9%。長短どちらの珍しい名前も合わせて8%足らずで、残る92%は2文字か3文字に収まっています。

ここで1文字の4.8%に戻ります。21件に1件ということは、市区町村を20ほど並べれば1つは1文字の名前がある計算です。

思ったより多いのではないでしょうか。しかしこれには原因があります。

4.ところが、区だけ話が違う

4.8%という数字は、市・区・町・村をまとめたものです。種別ごとに分けると、様子が変わります。

種別ごとの、漢字1文字の割合
区33.5%
村2.7%
市1.3%
町1.3%

※ 記事内で説明した集計をもとに作成した図です。

区は33.5%。3つに1つが漢字1文字です。

194区のうち65区が該当します。対する市は1.3%、町も1.3%、村は2.7%。区だけが桁違いに高いことになります。

理由は、区の名前を並べてみるとすぐに分かります。

漢字1文字の区の名前(65区)
南区12区
北区11区
西区11区
東区8区
中区5区
緑区5区
港区3区
泉区2区
旭区2区
その他6区6区

※ 記事内で説明した集計をもとに作成した図です。

南・北・西・東・中の5文字だけで47区、1文字の区の7割を占めます。区は市を分割してつくるものなので、方角がそのまま名前になりやすいのでしょう。同じ名前の区が全国にいくつもあるのは、このためです。

残る18区は、緑区・港区・泉区・旭区と、桜区・栄区・幸区・葵区・堺区・灘区。こちらは土地の名前や、そこにあるものから取られています。

区を除くと、割合は1.4%まで下がります。

市町村1,661件のうち、漢字1文字はわずか24件。およそ69件に1件です。冒頭で「そう多くない気がする」と書きましたが、区を別にすればそのとおりでした。

5.漢字1文字の市は、全国に10しかない

漢字で書かれた760市のうち、漢字1文字は10市だけです。

漢字1文字の市(10市)
市都道府県読み
蕨市埼玉県わらび
旭市千葉県あさひ
柏市千葉県かしわ
燕市新潟県つばめ
関市岐阜県せき
津市三重県つ
堺市大阪府さかい
呉市広島県くれ
萩市山口県はぎ
光市山口県ひかり

三重県の津市は、読みも1文字です。市の名前としては日本で最も短く、ローマ字で書くと Tsu の2文字になります。

山口県だけ、萩市と光市の2つが入っています。1つの県から2市が入るのはここと千葉県(旭市・柏市)だけでした。

町と村はさらに少なく、9町と5村です。

漢字1文字の町と村(14件)
種別市区町村都道府県
町森町北海道
町塙町福島県
町境町茨城県
町栄町千葉県
町森町静岡県
町岬町大阪府
町坂町広島県
町錦町熊本県
町綾町宮崎県
村泊村北海道
村原村長野県
村栄村長野県
村赤村福岡県
村東村沖縄県

森町は北海道と静岡県に2つあります。読みは北海道が「もりまち」、静岡が「もりまち」で同じです。

6.🔍 ちなみに、どうやって調べた?

分析方法をくわしく見る

使用したデータ

総務省が公開している「全国地方公共団体コード」の Excel ファイルです。令和6年1月1日現在のもので、都道府県と市区町村のコード・名称が収録されています。政令指定都市の行政区は別のシートにまとまっているので、そちらも取り込みました。

収録されている1,918件のうち、北方領土の6村(色丹村・泊村・留夜別村・留別村・紗那村・蘂取村)を除いています。総務省の資料でも、市町村数を数えるときはこの6村を除いています。残る1,912件から、さらに名前にひらがなやカタカナが混ざる57件を外した1,855件が対象です。

名前の数え方

  1. 1末尾の「市」「区」「町」「村」の1文字を取り除いた部分を、その市区町村の名前として扱った
  2. 2政令指定都市の行政区は「札幌市中央区」の形で収録されているので、市の部分を落として「中央区」とした
  3. 3漢字かどうかは文字コードで判定した。繰り返し記号の々と、「ケ・ヶ」も漢字の地名の一部として扱っている(鎌ケ谷市、六ヶ所村など17件)
  4. 4名前が漢字で書かれているものだけを対象にした。ひらがなやカタカナが混ざるものは外している
  5. 5同じ名前の市区町村(南区、森町など)は、それぞれ別の1件として数えている

分析上の注意点

  • 郡は市区町村ではないため対象外。町村名に郡名は含めていない
  • 北海道の泊村は、北方領土の泊村とは別の自治体。除いたのは北方領土のほうだけ
  • 市区町村は合併や区の再編で変わるため、この数字は令和6年1月1日時点のもの

7.まとめ

多いのは1文字のほうでした。89件で4.8%、4文字は52件で2.8%です。

ただしこの数字は、区が押し上げたものです。区は3つに1つが1文字で、その7割は東西南北と中。市を分けてつくるものなので、方角がそのまま名前になっています。

区を除いた市町村では1.4%、69件に1件まで下がります。ここまで来ると数は逆転し、1文字24件に対して4文字は51件。市区町村全体では1文字が多く、市町村だけなら4文字が多い、という結果になりました。漢字1文字の市は全国に10しかありません。1文字の地名が印象に残るのは、やはり珍しいからでした。

分かったことをまとめると、次のとおりです。

  • 漢字1文字は89件で4.8%、漢字4文字は52件で2.8%。多いのは1文字
  • 区を除くと1文字は1.4%まで下がり、4文字51件に逆転される
  • 名前は2文字が75.2%と最も多い

よくある質問

漢字1文字と漢字4文字の市区町村では、どちらが多いですか?
1文字のほうが多く、89件です。4文字は52件でした。漢字で書かれた市区町村1,855件に対して、1文字が4.8%、4文字が2.8%になります。ただし1文字の89件のうち65件は区で、市町村に限ると1文字24件に対して4文字51件と、逆に4文字のほうが多くなります。
漢字1文字の市区町村はいくつありますか?
漢字で書かれた市区町村1,855件のうち89件で、4.8%です。内訳は市が10、区が65、町が9、村が5。区を除いた市町村1,661件でみると24件、1.4%まで下がります。
漢字1文字の市はどこですか?
10市あります。蕨市(埼玉県)、旭市・柏市(千葉県)、燕市(新潟県)、関市(岐阜県)、津市(三重県)、堺市(大阪府)、呉市(広島県)、萩市・光市(山口県)です。漢字で書かれた760市のうち1.3%にあたります。
市区町村の名前は何文字が多いですか?
2文字が最も多く、漢字で書かれた1,855件のうち1,395件で75.2%を占めます。次いで3文字が17.1%、4文字が2.8%。1文字は4.8%です。最も長いのは5文字で、富士河口湖町(山梨県)と山陽小野田市(山口県)の2つです。

関連する記事