「町」は「まち」か「ちょう」か|743町の読みを調べた
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この記事で分かること
- 「まち」と「ちょう」は、どちらが多いのか
- 地域による傾向はあるのか
- 例外はあるのか

1.同じ「町」なのに、読みが違う
埼玉県には「ときがわ町」があります。読みは「ときがわまち」。一方、愛知県の「東浦町」は「ひがしうらちょう」です。
同じ「町」という字なのに、読みが違う。しかもどちらが正しいということはなく、その町の正式な読みとして決まっています。
では、「まち」と「ちょう」はどちらが多いのでしょうか。
どちらだと思うか、選んでみてください。
全国743町の読みを数えて確かめてみます。
2.743町の読みを数える
使用するのは、総務省が公開している「全国地方公共団体コード」です。市区町村の名前が、漢字と読み仮名の両方で収録されています。
全国地方公共団体コード - 総務省全国の都道府県・市区町村に割り当てられたコードの一覧。市区町村名が漢字とカナで収録されています。soumu.go.jpsoumu.go.jp令和6年1月1日現在で、町は743あります。読み仮名の末尾が「マチ」なら「まち」、「チョウ」なら「ちょう」として数えました。743町すべてがどちらかの読み方で、それ以外の読み方はありませんでした。
3.全国では「ちょう」が63%
まずは全国の町を見てみます。
※ 記事内で説明した集計をもとに作成した図です。
「ちょう」が466町で63%、「まち」が277町で37%でした。
全国では「ちょう」のほうが多い、ということになります。
では次に、都道府県ごとに「まち」と「ちょう」の割合に違いがあるのかを見てみましょう。
4.地図にすると、東西で分かれる
都道府県ごとに、町のうち何%が「まち」なのかを出しました。色が濃いほど「まち」が多い県です。

関東から東北にかけてが「まち」、近畿から西が「ちょう」。おおまかには東西で分かれます。
福島・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川は、いずれも100%が「まち」です。関東地方に「ちょう」と読む町はひとつもありません。
反対に、福井・岐阜・愛知・三重から西は、ほとんどが0%です。近畿・中国・四国では「まち」と読む町がほぼ見当たりません。
関東では「まち」が、西日本では「ちょう」が多い傾向がありそうです。
東日本
北海道〜長野の394町
西日本
岐阜・静岡以西の349町
※ 記事内で説明した集計をもとに作成した図です。並べたグラフで目盛りを揃えています。
ところが、東西では分けきれない
しかし、地図をよく見ると、一概に東日本と西日本で分けれるわけでもないことに気づきます。
北海道は129町のうち、「まち」と読むのは1町だけです。
東北のすぐ北にありながら、99%が「ちょう」。唯一の例外は森町(もりまち)で、これは静岡県の森町と同じ読みです。北海道の町の多くは明治以降に開かれたもので、東北の読み方を引き継がなかった、ということかもしれません。
九州も割れています。福岡97%、熊本87%、大分100%が「まち」なのに、宮崎・鹿児島・長崎は0%。同じ九州のなかで北と南に分かれています。
富山県も、西日本に入る位置にありながら4町すべてが「まち」でした。隣の石川は75%、福井は0%。北陸のなかでは東から西にかけて「まち」の割合が減っています。
山梨12%と静岡8%も目を引きます。長野が96%、神奈川が100%であるのに対して、この2県だけ「ちょう」に寄っています。
5.3分の2の県は、県内で統一されている
もうひとつ分かったことがあります。
47都道府県のうち33は、県内のすべての町が同じ読みです。
※ 記事内で説明した集計をもとに作成した図です。
「まち」だけなのが11都県。福島・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・富山・大分です。「ちょう」だけが22府県。混在しているのは14道県だけでした。
県をまたぐと読みが変わるのに、県のなかでは揃っている。町の読みは、その町だけの事情ではなく、地域でひとまとまりに決まってきたことがうかがえます。
| 都道府県 | まち | ちょう | まちの割合 |
|---|---|---|---|
| 千葉県 | 16町 | 0町 | 100% |
| 埼玉県 | 22町 | 0町 | 100% |
| 大分県 | 3町 | 0町 | 100% |
| 富山県 | 4町 | 0町 | 100% |
| 新潟県 | 6町 | 0町 | 100% |
| 東京都 | 5町 | 0町 | 100% |
| 栃木県 | 11町 | 0町 | 100% |
| 神奈川県 | 13町 | 0町 | 100% |
| 福島県 | 31町 | 0町 | 100% |
| 群馬県 | 15町 | 0町 | 100% |
| 茨城県 | 10町 | 0町 | 100% |
| 福岡県 | 28町 | 1町 | 97% |
| 長野県 | 22町 | 1町 | 96% |
| 山形県 | 18町 | 1町 | 95% |
| 熊本県 | 20町 | 3町 | 87% |
| 青森県 | 19町 | 3町 | 86% |
| 石川県 | 6町 | 2町 | 75% |
| 秋田県 | 6町 | 3町 | 67% |
| 宮城県 | 11町 | 9町 | 55% |
| 岩手県 | 6町 | 9町 | 40% |
| 山梨県 | 1町 | 7町 | 12% |
| 佐賀県 | 1町 | 9町 | 10% |
| 島根県 | 1町 | 9町 | 10% |
| 静岡県 | 1町 | 11町 | 8% |
| 北海道 | 1町 | 128町 | 1% |
| 三重県 | 0町 | 15町 | 0% |
| 京都府 | 0町 | 10町 | 0% |
| 兵庫県 | 0町 | 12町 | 0% |
| 和歌山県 | 0町 | 20町 | 0% |
| 大阪府 | 0町 | 9町 | 0% |
| 奈良県 | 0町 | 15町 | 0% |
| 宮崎県 | 0町 | 14町 | 0% |
| 山口県 | 0町 | 6町 | 0% |
| 岐阜県 | 0町 | 19町 | 0% |
| 岡山県 | 0町 | 10町 | 0% |
| 広島県 | 0町 | 9町 | 0% |
| 徳島県 | 0町 | 15町 | 0% |
| 愛媛県 | 0町 | 9町 | 0% |
| 愛知県 | 0町 | 14町 | 0% |
| 沖縄県 | 0町 | 11町 | 0% |
| 滋賀県 | 0町 | 6町 | 0% |
| 福井県 | 0町 | 8町 | 0% |
| 長崎県 | 0町 | 8町 | 0% |
| 香川県 | 0町 | 9町 | 0% |
| 高知県 | 0町 | 17町 | 0% |
| 鳥取県 | 0町 | 14町 | 0% |
| 鹿児島県 | 0町 | 20町 | 0% |
6.🔍 ちなみに、どうやって調べた?
分析方法をくわしく見る
使用したデータ
総務省が公開している「全国地方公共団体コード」の Excel ファイルです。令和6年1月1日現在のもので、市区町村の名前が漢字と半角カナの両方で収録されています。この読み仮名を使いました。
収録されている1,918件のうち、町は743件です。この743町すべてを対象にしました。
読みの判定
- 1読み仮名は半角カナで入っているので、全角に直してから末尾を見た
- 2末尾が「マチ」なら「まち」、「チョウ」なら「ちょう」とした。743町すべてがどちらかに収まった
- 3東日本・西日本の区分は、団体コードの先頭2桁(都道府県コード)が20以下、つまり北海道から長野県までを東日本とした。20は長野県、21は岐阜県にあたる
分析上の注意点
- 総務省の一覧にある正式な読みで数えている。地元での呼び方や、慣用の読みは扱っていない
- 町の数は合併で変わるため、この数字は令和6年1月1日時点のもの
- 東日本・西日本の線引きは県コードによる機械的なもので、文化圏の境目とは一致しない
- 地図の県境は dataofjapan/land のデータ(MIT)を使った。東京の小笠原諸島と沖縄の先島諸島は、そのまま描くと海ばかりの図になるため表示していない
7.まとめ
「町」の読みは、東日本が「まち」、西日本が「ちょう」でした。
但し、明確に分けれるわけではありません。北海道は129町のうち128町が「ちょう」で東北と正反対、九州は福岡・熊本・大分が「まち」で南3県が「ちょう」。飛び地のある分かれ方をしています。
県をまたぐと読みが変わるのに、47都道府県のうち33は県内で揃っている。町の読みは、その町だけで決めたものではなさそうです。
分かったことをまとめると、次のとおりです。
- 全743町のうち「ちょう」466町(63%)、「まち」277町(37%)
- 関東8都県は100%が「まち」。近畿・中国・四国はほぼ0%
- 北海道は129町のうち128町が「ちょう」。東北とは正反対
よくある質問
- 「町」は「まち」と「ちょう」のどちらが多いですか?
- 全国743町のうち「ちょう」が466町で63%、「まち」が277町で37%です。ただし全国で見た数より、地域による偏りのほうがはっきりしています。北海道から長野までを東日本とすると「まち」が57%、それより西では15%でした。
- 「まち」と「ちょう」の境目はどこですか?
- きれいな線は引けません。福島から神奈川までの関東と、山形・青森・長野・新潟・富山はほぼ「まち」ですが、北海道は129町のうち128町が「ちょう」です。九州も福岡97%・熊本87%・大分100%が「まち」なのに対し、宮崎・鹿児島・長崎は0%。東西というより、飛び地のある分布になっています。
- 県内で読みが統一されている都道府県はいくつありますか?
- 47都道府県のうち33で、県内のすべての町が同じ読みです。「まち」だけが11都県(福島・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・富山・大分)、「ちょう」だけが22府県。残る14道県は混在しています。

